第64章 絡む糸
「一時的な記憶障害がありまして…」
胡蝶の言葉に周囲がざわつく。
「記憶障害?僕みたいな?」
時透の言葉に首を捻る宇髄。
こいつに記憶障害、あったか?
確かにいつもぼーっとしてるが。
「記憶……」
冨岡の脳裏に柱稽古中の出来事が過る。
何代か前の御館様に彼女は軟禁されていたと。
そんな辛い記憶も取り戻していたら…
「冨岡」
「何だ?宇髄」
「アイツのこと、頼む。やっぱり白藤にとってはお前が一番だからな」
「…………」
「おい、何だ。その顔は。ここに居る柱全員。白藤に世話になってんだ。……心配して当然だろ?」
心配して当然。
俺にとっても、鬼殺隊にとっても、白藤は大事な存在だ。