第63章 春告げ鳥が鳴く頃に$ 不死川激裏短編
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宇髄が白藤の腕の裾を捲る。
見覚えのある傷だった。
こいつは、あの時の……
不死川は白藤を助けた任務の後に同期を亡くした。
家族を亡くした時のように、不死川の心にもぽっかりと穴が空いたのを覚えている。
そうか、だから……
思い出せなかったのか……
「なぁ、不死川……コイツに気がないなら俺に譲ってくんねぇ?」
「お前、嫁三人……」
「アイツら三人はいずれ誰かに嫁がせんだよ」
「は?」
「くノ一やめさせる為に嫁にしたんだよ」
「にしても、三人は多いだろ」
「三人ってのがしきたりなんだよ。俺こー見えて長男だしな」