第63章 春告げ鳥が鳴く頃に$ 不死川激裏短編
「えっと……」
「とりあえず、化け物退治はしたからなァ。もう、心配要らねェよ」
「あ、ありがとう、ございます」
「いや、礼を言われる程じゃねェよ。もっと早くに来てやれなくて、すまねェな。お前の家族は、助けてやれなかった」
「家、族…?」
じゃあ、寝室にいるはずの両親と弟は……
「一緒に弔いしてやる……」
「はい……」
彼は、私の家族を埋葬してくれた。
家族の死を改めて目撃した私は、彼にお礼を言えなかった。
茫然としている内に夜は明け、彼は居なくなった。
翌朝になって、婚約者が私を迎えに来たが、腕の傷と、一夜にして家族を失なったこと。
何もかもが相手の家にとっては不審に思ったのだろう。
私の婚約は破談になり、私は風の噂で鬼狩りの存在を知り、入隊するため奔走した。