第63章 春告げ鳥が鳴く頃に$ 不死川激裏短編
「蕎麦屋に鬼が出るって噂」
「………蕎麦屋つーのは…」
「お前の想像通りの店だな。二階がまぁ色めき立っててなぁ……」
つーことはやっぱり白藤と宇髄は……
「……今ヤッたと思ったろ?」
「は?」
「コイツがガチガチに緊張しててよー、しかも好きな人が居るので出来ませんって言うんだぜ?よりによって、俺に向かって」
「?」
白藤の好きなやつ?
宇髄じゃなかったのか?
「誰が好きっつったか、分かるか?」
「………冨岡か?」
「お前も噂知ってたのか……」
「…………」
「冨岡はさておき。お前ら面識有るんだって?コイツ助けてもらったけど、しっかりお礼言えなかったって言ってたぞ?」
助けてもらった?
「腕の傷のせいで婚約は破談になったけど、今度会えたら、ありがとうって伝えたいってな」
宇髄から伝えられても嬉しくないが、腕の傷……
不死川は考え込むように眼を伏せる。