第63章 春告げ鳥が鳴く頃に$ 不死川激裏短編
「は?」
「宇髄ー、居るかァ………あ?」
宴会場へ入室した不死川が動きを止める。
おー、おー、困惑してやんの。
宇髄は内心ほくそ笑みながら、白藤の肩を抱き寄せて、自分の隣に座らせた。
「女中の代わりに酌してくれよ、白藤」
「……白藤?」
不死川さんが来るなんて聞いてないんだけど……
宇髄さん、私で遊んでるな?
「………そういえば、日本酒だけじゃないんですね」
「あぁ。俺と不死川は酒強いからな。焼酎も持って来てるぜ?」
「焼酎って喉焼けません?」
「何だ?飲んだことあんのか、白藤?」
宇髄がにやつきながら焼酎瓶を白藤に押し付ける。
まだ呑んでないのに酔っぱらいみたいに絡んでくる……
まぁ、宇髄さんだからな……
対する不死川は無言。
まぁ、それはそうだよね……
無理もない。
助けられた方は覚えていても、助けた方は覚えていないこともある。