第62章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも下巻2完結$
星と月を型どった金の髪止めは月光を浴びキラリと輝く。
「初めて渡したのは……」
「覚えてるわよ。聖剣伝説の聖書。でもあれを女性に渡して喜ぶのはごく少数よ?ま、少数の内なのは認めるけど」
聖剣伝説の聖書は王子たちに行き渡るよう一冊ずつ丁寧に製本されている。
冨岡は王室に伝わる古くからの告白で白藤を射止めたのだが……
王子たちは身の回りにある自分の持ち物を差し出し、姫を娶る。
ただ、冨岡のように宮女に告白するのは特殊だ。
まぁ私は嬉しかったけど。
好きな想い人からもらったプレゼントが本でも。
ただ、字が読めなかったけど。
読みたくて、それから義勇と勉強して……
懐かしいなぁ。
なんだかんだで面倒見が良いんだよね、義勇は。
義勇は私に初めてをくれる人……
そんな義勇を私は支えたい。
だから………