第9章 戦いの只中で
冨岡によって、屋根から二人揃って放り投げられる。
「禰󠄀豆…子…!」
「ガァァ……!!」
だめだ。俺の声が届かない。
何とか着地した炭治郎は、昔母が歌った子守唄を口ずさんだ。
「こんこん小山の子うさぎは…」
眠れ、眠れ、祈りながら、禰豆子の頭を撫でてやる。
それで安心したのか、禰󠄀豆子は眠った。
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スパン。
「え?」
何で?
頸、斬られた!!
堕姫がまたも動転する。
「よくも私の頸斬ったわね。ただじゃおかないから…」
「喚くな……」
「何でアタシだけ…お兄ちゃああん!」
妙だ。
頸を斬ったのに、体が崩れない。
まさか--
分裂したもう一体と。
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「血鬼術・飛び血鎌!!」
これなら、遠慮なく返せる。
「風の呼吸・壱ノ型 塵旋風・削ぎ!!」
俺の鎌を跳ね返した。
厄介なヤツだなぁ。
じゃあ、そっちのヤツはどうだ。
「曲がれ、飛び血鎌!!」
ギュルン。
「音の呼吸・壱ノ型 轟!!」
こっちのヤツは受けた。
だが、俺の毒が効かねぇ。
「何なんだよ、お前たちはよぉ…」
ボリボリボリボリ。
首元を掻きむしりながら、妓夫太郎は宇髄と不死川の二人を睨みつける。