第9章 戦いの只中で
嘘でしょ。
止めた!?
切断した四肢で!?
堕姫は目の前の光景に絶句した。
いや、切断できてない。
血が固まって…
ザブン。
こんなの聞いてない。
この再生速度は上弦にも匹敵する。
柱の攻撃は回避した、でも怖気が止まらない。
何なの、この感覚……
ボウッ。
堕姫の視界の端で火の手が上がる。
「ぎゃああぁ!」
鬼となる前に、生きたまま焼かれた堕姫にとって火は恐怖の対象であるのだ。
燃え、燃えてる!!
返り血が!!
ガチガチ、ガチン!
堕姫が恐怖に慄く中、禰󠄀豆子のこま切れになった四肢が血液に繋ぎ止められて、再生する。
「ガアァァッ!」
禰豆子の絶叫に、気絶していた炭治郎が目を覚まし、駆け寄る。
大量の血を流したためだろう、牙を剥き、飢餓状態となった禰豆子が暴れ出す。
「禰󠄀豆子!!ごめんな。戦わせてごめん。でも大丈夫だ。眠るんだ禰󠄀豆子。眠って回復するんだ!」
炭治郎はその状態まで禰豆子を追い込んだことを謝罪しながらどうにか宥めようとする。
「鬼化が進んでいる。炭治郎、妹だろ。自分で何とかしろ。俺に切られたくないなら、尚更。鬼は俺が何とかする」
「冨岡さん!」