第62章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも下巻2完結$
「白藤はどこに?」
冨岡が杏寿郎に問う。
「宇髄の宮に居る。三姫が面倒を見ているから大事ない。顔を見せてやれ、喜ぶぞ」
その言葉を聞き、冨岡の気がはやる。
「朔……」
「義勇様はお先に。私は杏寿郎様に聞きたいことがありますので」
朔が冨岡の背を押すと、彼はそのまま宮へと向かった。
「槇寿郎様、杏寿郎様。改めまして、私の所在をお願い致したく……」
「朔殿、そう畏まらなくても良いぞ。冨岡がいつもああなだけだ」
「……はい?」
「今年の王子たちは粒揃いでな。すまない、少し篩にかけたのだ。義勇がいかに困難を乗り越えるか……それを見届けたかったのだ」
つまりは容疑をかけられたこと自体が国王が企てた試練だったという訳か。
「だが、火の国である我が国に水の守護がまたも巡ってくるとはな……」
「父上?」
「聖剣伝説に残るはあと一つ、か」