第61章 藤姫の帰還
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気が付くと私は鱗滝様の屋敷に寝かせられていて……
「白藤……気が付いたか?」
「……さん」
義勇さんと唇を動かす白藤に思わず涙ぐみそうになる。
「!?白藤、記憶が……戻ったのか?」
よかった……
「……長い夢を見ました……」
「夢?」
「はい、でも……」
「ん?」
「義勇さんが無事で良かったです」
「……くない。二度とするな……」
初めてこの人の涙を見た。
こんなにも、胸を締め付けられるものなんて……
「………めん、なさい……」
痛い。
怪我じゃない。
この人を泣かせてしまった。
心が痛い。
しゃくり上げて泣き始めた私の声を聞きつけて、襖が開いたけれど、私たちが抱き合っていたためか、それはすぐに閉じられた。