第61章 藤姫の帰還
ふふ、と微笑みながら、胡蝶はその場を去り、残された俺は……
「あの……///」
「どうした?」
「ごめんなさい、私……覚えて、いなくて……」
「お前のせいではないのだから、気にしなくてもいい。」
「ですが……」
「用が済んだなら体を洗って出てこい」
「はい……」
恋人……私と、この人が……
綺麗な水面のような瞳に整った顔立ち……
私、釣り合って…いるのだろうか…?
とりあえず、体を洗って出ないと……
ごしごしと体を洗う。
ただ、中途半端に体が高ぶってしまって……
ダメ、ダメ。
とにかく、着替えて、気分を落ち着けなきゃ……
「はぁー……」
白藤は深い深呼吸をしてから、浴室を後にした。