第3章 藤の花屋敷の鬼女$
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うーん、水柱いまいち印象に残っていない。
「鬼狩り様」
「すまん。今日は世話になる」
ああ、いつも無口なアイツか。
庭木から飛び降りると冨岡がこちらを見ていた。
何だろう?
「お前、鬼か?」
刀を構えたまま、冨岡に問いかけられる。
これは誤魔化さない方が良いようですね。
「半人半鬼にございます」
チン。
正直に素性を明かしたからなのか冨岡は刀を鞘に納めた。
「あら、私を始末しないので?」
中庭から廊下に上がる際に冨岡に問いかけてみると。
「お館様が何の考えもなしにお前のような者を置くとは思えないからな」
「貴方も、お館様の信奉者の一人なのですね?」
「俺は他の柱とは違う」
「……どういう意味ですか?」
「そのままの意味だ。それと無闇に胡蝶の真似をするな」
冨岡に近しい女性と言えば蟲柱の胡蝶しのぶくらいなのだけど。