第61章 藤姫の帰還
「私は兄の様に接して頂きました。ただあの方は昼は外を歩けない病気を患っていらっしゃったはずで……」
「昼は歩けない?」
「薬師様がいつも薬を届けて下さっていたのですが、薬師様の姿も見えなくなってしまいましたし……」
「薬師……」
「無山様は体力が強くないので、心配で……」
「あの、薬師様はどんなお薬を届けて下さっていたのですか?」
「体質を変えるお薬だと聞いていました。私も副作用で髪が白くなってしまいましたが……」
「飲んでいたんですか?」
「えぇ。ただ無山様が居なくなる前日の事はあまり覚えていなくて……」
無山という名前。
偶然なのでしょうか?
前に御館様が鬼舞辻は一族の汚点と言われていたことと、関係があるのかしら?
「ねぇ、しのぶちゃん」
「どうしましたか?甘露寺さん」
「白藤ちゃんをお風呂に入れてあげたいのだけど……あれってやっぱり鬼とその……」
私としたことが。
成分を分析したら、鬼を倒せる役に立つかも……
「白藤さん。一緒にお風呂に入りましょうか」