第61章 藤姫の帰還
「一時的な物だとは思うのですが……何とも言えませんね」
「そう、ですか……」
「一度本部に戻り、御館様の指示を仰ぐ必要があります。冨岡さん、事実説明をしっかり柱合会議で証言して下さいね?」
「う゛……」
「でも、さっき。白藤ちゃん、私たちを庇うみたいに技を出したわよね?全部が分からない訳じゃないのかもしれないわ。ね、しのぶちゃん?」
「えぇ、まあ。白藤さん、何か覚えていることはありますか?」
「覚えていること、ですか?」
「はい。何でも良いんです」
「えっと……様が居なくなってしまったので、探しているのです」
「人を探して居るのですか?」
「はい。あのお方は、本当はとても繊細な方なのです」
「その方の名前は覚えていらっしゃいますか?」
「産屋敷無山様です」
『産屋敷無山』?