第61章 藤姫の帰還
「白藤さん!蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ」
「ちぃっ!」
「しのぶちゃん、こっち!」
甘露寺が胡蝶の手を掴む。
猗窩座の指が白藤の着物の襟を掠めるが掴めずに落ちていく。
「覚えておけ、柱ども!その娘はいつか俺が貰い受ける」
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猗窩座の猛攻を掻い潜り、一行はとりあえず、鱗滝邸へ。
「おぉ、ご無事でしたか。藤姫殿」
「天狗様?」
「義勇、これは一体……」
「とりあえず中で話しましょう」
胡蝶に促され、一行と鱗滝は邸の中へ。
客間に集まった五人の中で一番先に口を開いたのは鱗滝だった。
「藤姫殿はどういう状態なのですか?」
鱗滝の問いに答えたのは胡蝶だった。
「少々、記憶が飛んでいるようです」
「記憶が……」
「冨岡さんを始め、私や甘露寺さんのことも忘れているようです」