第61章 藤姫の帰還
集落が途切れた先に、古びた社を見つけた冨岡は、そのまま境内に手をかけた。
ガタガタ。
長年手入れされていないのだろう。
古びた襖を外して中に入ると、倒れ込むようにして眠っている白藤を見つけた。
「白藤!!」
良かった。
大きな傷は残っていないようだ。
「ん……」
重い瞼を押し上げると、深い青色の瞳に見つめられていた。
「白藤、気が付いたか?」
気遣わしげな瞳……。
誰?
「…………?」
「どうした?」
優しい声音。
まるであの方のよう……
「貴方は、どなたですか……?」
「…………」
私の問いに見開く瞳。
彼は一体、誰なのだろう?