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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第60章 谷底の社$


「いえ。……えっと、この辺りで魚は捕れますか?」

「魚?向こうに川がある。捕ってはこれるが……お前、何をする気なんだ?」

「料理を……でも道具が……」

鬼が人の様に料理をするとは、おかしなものだ。

少し興味が湧いた。

「お前の名は?」

「名前、は………すみません、思い出せません」

落下の影響か?

「名無しでは呼び辛いな。鬼の名か……」

今宵の月は十六夜。

「『十六夜(いざや)』うむ、我ながら悪くないだろう。お前のことは十六夜と呼ぶからな」

「十六夜?」

「俺の名は猗窩座だ。十二鬼月の上弦の参。覚えておけ」

「アカザ様?」

ぎこちなく白藤が猗窩座の名を呼ぶと、彼は満足そうに目を細めた。

所詮は仮の名前。

ただ、白藤はその仮の名前を胸の内で繰り返した。

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