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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第60章 谷底の社$


落ちてきたのは女だった。

見た目は人間同様だが、肌が白く、独特な気配がした。

人間ならば致命傷を負うであろう、山からの滑落。

その鬼はゆっくりと人の形を取り戻していく。

まず、目についたのは、変わった衣装を着ていること。

まるで自分たちが忌み嫌っている鬼殺隊を思わせる黒衣に、剥き出しの素肌。

彼女の外見は下弦の鬼に似ていた。

猗窩座は思案した。

彼女をどうするか、否か。

落ちてくる人間は何も男ばかりではない。

身重の女や餓死寸前の老婆、年端のいかない子供。

基本、猗窩座は女の肉は喰らわない。

他の鬼が旨いと絶賛する女の肉を彼は口にしようとしなかった。

その行動に別に意味があるかと言えば特には無い。

ただ漠然と女の死だけは弔いをしていた。

胸の内の穴を埋めるように……

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