第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
コンコン。
控えめなノック音。
「何用だ?」
「しのぶです。失礼してもよろしいでしょうか?」
しのぶ、二女か。
「構わないが?」
カチャ。
「失礼します」
ガチャリ。
内鍵?
というか、普通客室に夜着で来るか?
「お食事は済まされましたか?」
「あぁ、頂いた」
「そうですか」
なら、そろそろ効いてくるかしら?
私特製の媚薬。
でも、それならダメ押しもしましょうか。
「冨岡さんは、お酒飲まれないのですか?」
「あまり、好きではなくてな」
「そうなのですか?インフェルノのお酒は飲みやすいと有名なのですよ。どうぞ、試しに一杯」
「はぁ」
さっきも言ったが、俺は酒は得意ではないのだが……