第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「「静寂の波動 揺らぐ心は水鏡 ことほぎ燃ゆる 御霊の鎖 揺蕩う 飛沫と 契り籠ん!!」」
剣を掴むだけで感じるこの国を巡る水の伊吹。
水は生命の根源。
渇ききる前に朔と俺で、水を……
「義勇様、剣を空へ向けて下さい。神凪を天に放ちます」
「分かった」
「「翠玉の 水面に映るは 御柱の 聖なる息吹に 満ち染まん 『神凪』」」
突如として稲妻のように、天にかけ上がる水柱。
勢いが消えると同時に暗雲が立ち込める。
空気が湿ってきたと感じるや否や……
ポタッ。
ポタタッ。
「わー、雨よ。二人とも!」
「姉さん、はしゃぎ過ぎ!はしたないわよ!」
カナエとしのぶが二人で騒ぐ。
「あの、冨岡さん。ありがとうございます」
お礼を言ってくれたのは、やはりカナヲだ。
「いや、気にするな。俺よりも朔を労ってやってくれ」
「ありがとうございます、エディルレイド様」