第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「別に……俺はフラムが平穏ならば、それでいい……」
「………?」
え、それだけ?
確かにフラムと我が国は古くから友好関係を築いているけれど……
「私やしのぶと政略結婚をして、より密接な国交を……とかが、狙いな訳ではないの?」
「何故、そうなる?」
「えっと……」
「婚約は、自分で決めるものだろう」
あれ?
「あらあら、しのぶどうしたの?」
しのぶがポロポロと涙を流している。
「と、冨岡さんは……どなたかと……」
あらー?
ひょっとして、ひょっとしたりするのかしら?
「?」
「ねぇ、冨岡くん。私、あなたが気に入っちゃった。婚約しましょうか?」
「え?姉さん!?」