第8章 上弦の陸
「帯?」
地中から這い出てくる桃色の帯を見付ける。
あれに捕まると不味いのよね、きっと。
白藤は逸る心を抑えながら、遊郭の市民を逃がす為に奔走する。
鬼が居る以上、一般人は逃がさなくては。
「やっぱり"柱"ね。柱が来てたのね、良かった。あの方に喜んで戴けるわ…」
蕨姫花魁の髪が黒から白へと変貌していく。
ズズズ…
爪が伸び、肌もより白くなる。
人ではないものへと変貌していく彼女を目の当たりにして、炭治郎達も刀を携える。
「おい、何をしてるんだお前たち!!人の店の前で揉め事起こすんじゃねぇぞ!!」
廓の主人が大声を張り上げる。
「……うるさいわね」
不味い。
見るからに苛立っている様子だ。
あの人に危害を加えるかもしれない。
「ダメです!下がって下さい!」
「お前、雪白…!」
見つかった…
「水の呼吸・拾壱ノ型 凪」
堕姫と私の間に冨岡さんが入り、凪で攻撃を全て払ってくれる。
「其奴を連れて早く行け!!」
「はい!」
「血鬼術・八重帯斬り。お終いね、さよなら」