第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
フラムの王宮は文官が少ない。
故に王宮の文書管理を王子がすることもある。
誰も性に合わないとやりたがらない書類仕事を冨岡が妻の白藤と二人で担っていたのだ。
「方針転換には随分と急よね?」
「………」
「それに、貴方。この間の定例会議に不参加だったでしょ?珍しく煉獄くんが来ていたわ」
どこから話して良いものか……
「義勇様は物事を途中で投げ出したりしません」
「朔?」
「力を解放されても困るので、核石にだけ封煌符を貼らせてもらったわ。彼女、エディルレイドなのね?」
「………エディルレイドを知っているのか?」
「えぇ。といっても、実際に会うのは初めてだし、彼女も物分かりが良かったから、ここに一緒に連れてきたの。ねぇ、冨岡くん。君、何を隠しているの?」