第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
コンコン。
「しのぶ姉さーん、こちらですか?」
「カナヲ?どうしたの?」
「良かった、明日の会議の資料のことで聞きたいことがあって……」
「ちょっと待って下さいねー」
カナヲとしのぶのやり取りにカナエが割って入る。
「カナヲ、私が見ましょうか?」
「いえ、しのぶ姉さんでいいです」
「お姉ちゃん、そんなに頼りない?」
「カナヲー?お姉ちゃん泣かせちゃダメよー?後が面倒だから」
「しのぶが最近冷たいっ!」
「仕事溜め込むからでしょう?」
しのぶの笑顔が怖いっ!
「まあ、冗談はさておき」
「姉さん?」
「まあまあ。彼の事情を聞きましょうどうして、国境沿いのあんな所に居たのかしら?」
「我が国からこちらに流れる水の流れが悪いと聞き、調査に参った次第だ」
「そうなの?その依頼は誰から?」