第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
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……ここは、どこだ?
見慣れない部屋だ。
「義勇様!」
朔の声?
駄目だ、思考が…
「……朔?」
「気がつかれましたか?」
誰だ?
「こーら、しのぶ。先に私達が名のらないと彼も混乱しちゃうでしょ?」
「でも!」
「いいから、ね?」
「分かりました。改めまして、私はインフェルノ共和国の胡蝶しのぶと言います」
ん?胡蝶?
「顔を会わせるのは何年ぶりかしら?胡蝶カナエです」
彼女の名前に数年前の記憶が甦る。
『初めまして煉獄くんに宇髄くんに不死川くん………えっと、こちらは?』
『冨岡義勇だ』
『そう、初めまして。私は胡蝶カナエと言います』
「思い出してくれたかしら?」
「何故、貴殿がここに?」
「何故って、ここがうちの王宮だからよ?」
ここが、インフェルノの王宮?
それを聞いて冨岡の意識がようやく覚醒した。