第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「にしても、伊之助君。大人しかったですね」
確かに。
朔が欲しくて仕方がないといった感じだったが……
食い意地の方が勝ったということだろうか?
国境沿いに川の流れを追っていると……
「義勇様!アレを!」
土砂崩れでもあったのだろうか、大岩が川を塞き止めている。
悲鳴嶼さんの背丈と同じ位の大岩だ。
人力では動かせないだろう。
「朔、岩を斬るぞ」
「はい!」
冨岡と朔がカンバダを岸に繋いでいると……
「待ちなさい!怪しいヤツ!」
「何だ?」
バチャバチャ。
水音を立てながら、四人の人影が現れた。
声からして女性のようだ。