第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「水の流れを塞き止めるなんて、貴方達が山賊ね!」
俺達が山賊?
「…ちょっと待……!」
「逃がさないんだからーっ!」
目の前に岩が迫ってくる。
ん?岩っ!?
ジャボン!
次々に顔よりも少し大きいような岩が二人目掛けて、川向かいから飛んでくる。
え?
ちょっ、怖っ!?
「朔、響応の謌だ」
「え?はい!」
「永久に 揺らぐ水面に 映せしは 汝の心と 愚に染まん!」
謌と共に朔の周りに集まった水。
小さな球体に似た形状をしていたそれは、波紋を広げるように一瞬で大きく膨れ上がり、破裂すると同時に水の壁を作り上げる。
「防御なんて卑怯よ!プンプン」
「姉さん。埒があかないから、私が反対側に行ってみるわ」
「しのぶ、気をつけるのよ」