第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「ふふっ」
「朔」
キュルル。
「ごめんなさい……」
だって、このタイミングでお腹の音とか……
あー、私もお腹空いてきたかも。
「旅人よ、訳有りなのであろう?どうだ?訳有り同士、私たちと一緒に食事をしないか?」
確かに昼時ではあるが……
山賊と共に食事というのは……
冨岡が胸中で葛藤していると。
「着いて来ると良い……」
「………どうしますか?義勇様」
「……………行ってみるか」
正直、罠な予感もしないではないが。
アレだけ好戦的だった猪頭の少年が飯だけであっさり引く態度や、あの大男が生き物に敬意を払う様子を見て。
少しだけ、信じても良いかと思えた。