第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「絶対ぇ、ブン獲る!!」
さっきから猪頭の攻撃が単調だ、これなら謌無しでも攻撃をかわし、逃げ切れるかもしれない。
右手側の攻撃を避けた、ハズだった。
刃が当たった。
いや、それよりも……獣の上で両手にサーベルとは。
なかなか出来ない芸当だ。
「朔!」
反撃を封じるためにも、ここは豪雨を降らせるべきか。
「ピィーーー!!」
「あ?んだよ、今イイとこだってのにっ!」
何だ?
猪頭の動きが止まった。
今なら……
「「忘却の 彼方に 誘う…」」
ガカンッ!
何だ?今のは……
鉄球?
「無事か、伊之助……」
川岸から現れた男は二メートルを越えようかというような大男。
気配が無かったが……
「ゲッ。悲鳴嶼の親分……」