第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「何だ、その剣!?カッケー!!」
「は?」
「めちゃくちゃレア物だな!お前倒して絶対手に入れてやるからな!ガハハッ!」
「何だかよく分かりませんが、絶対勝ちましょう、義勇様」
「………承知した」
カンバダの手綱を近くの木に結び付け、猪頭の少年から距離をとる。
「オラァっ!!」
さすがは山賊。
虎の機動力を生かしながら、サーベルでこちらに攻撃を仕掛けてくる。
「「白波に 穿つ矛には 海神の……」」
謌の詠唱で天候が変わる。
嵐を呼ぶ暗雲を上空へ出現させる。
「ヤベェぜ、やっぱりレア物だな!トラ丸。間合いに回り込め!」