第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
ガサガサ。
「義勇様……」
「誰か居るようだ……様子を見るぞ?」
冨岡の視線の先に確かに何かが居る気配がする。
ガサガサ、ガサガサ。
人なのか、はたまた獣か。
「よこせ…」
ガルルル。
人と獣の咆哮(ほうこう)。
ガサッ!
「女と金目の物、寄越しやがれぇ!」
虎に股がった猪?
でも体は人間だ。
腰にサーベルも携えている。
何はともあれ、山賊に違いない。
「朔!同契だ」
「はい!」
「「静寂の波動 揺らぐ心は水鏡 ことほぎ燃ゆる 御霊の鎖 揺蕩う 飛沫と 契り籠ん!!」」
「な……」
「?」
山賊の動きが止まった?