第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
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チュンチュン。
「ん……朝か。朔、起きろ」
「………はい」
衣服を整え、旅支度を整える。
「行くか」
「はい」
二人揃って下へ降りる。
鱗滝に出発する旨を伝え、見張り小屋をあとにする。
「国境付近にはごろつきも多いからな、用心しろ」
鱗滝の言葉を気にかけながらも、二人で隣国インフェルノへ向かうことにした。
カンバダに二人で跨がる。
冨岡の腰に手を回して、しっかりと掴まるとカンバダの上からの光景が朔には輝いて見えた。
「わぁ、義勇様。滝が綺麗ですね」
コロコロと表情の変わる朔は可愛らしいと思う。
滝から西に20キロ程進めばインフェルノに着くのだが。この辺りは鬱蒼とした森林地帯。
山賊の類いが出てもおかしくはない。
辺りを警戒しながら進んで行くと………