第1章 今宵、蜜に溺れてく
「………っ」
ゆ、び……っ
挿入、って、くる……っ
ゆっくりゆっくり、じわじわと。
焦らすように時間をかけて、指の腹は内壁を擦りあげる。
「……全部、挿入った」
「ん……っ」
体を押し付けるように囲われて、わたしからはまわりが全然、見えなくて。
見えない事実が余計に羞恥心を煽られる。
「子宮降りてきてる。気持ちいい?」
「だ…っ、さっき……っ」
「ん?さっき?」
「〰️〰️〰️っっ」
ゆっくりゆっくりと、内壁を擦る指の出し入れが、止んで。
反射的に見上げた匠の顔。
思惑どーり、とでも言いたげに官能的に笑って。
匠は引き抜いた指を自分の口へと、運んだ。
「た、匠……っ」
「ん?」
わざとだ。
絶対わざとやってる。
匠は絶対、自分がどれだけ他人を惹き付ける容姿を持ってるか知ってて。
どれだけ色香を撒き散らしてるのかも、知ってて。
わざとわたしにそれを、見せつけるんだ。
知らしめるんだ。
わたしが、匠にどうしようもなく惚れちゃってる、って。
「不満?そんな顔してる、理緒」
わかってるくせに。
わざと、自分でそう、仕向けたくせに。
「理ー緒」
こんなんじゃ、足りないの、知ってるくせに。
「………次の駅、着くよ」
「………」
「理緒?」
「降りて」
「ん?」
「降りて匠。………ちゃんと責任、取って」
スカートの裾、握りしめて。
震える体を匠へと、凭れさせた。
「………りょー、かい」
頭を撫でる匠の掌。
顔なんて上げなくてもわかる。
絶対匠今、勝ち誇った顔してる。