第2章 今宵、君に酔う
朝の光が窓から降り注ぐまで、もう少し。
隣では気持ち良さそうに眠る、かわいいかわいいお姫さま。
寝顔をこうやって見るのは、久しぶりかもしれない。
昔は当然のように隣にあった寝顔も、大人になるにつれなくなっていったから。
「好きだよ、理緒」
寝ている理緒の額にキスを、すれば。
嬉しそうにふにゃぁって崩れる理緒の笑顔。
寝てても、理緒は俺を虜にして離さないんだ。
こんなにかわいい笑顔で。
嬉しそうに笑って。
こっちまで、気持ちが穏やかになる。
かわいそうな理緒。
一生離してあげるつもりなんて、ないよ。
ねぇ理緒。
昨日も今日も明日もずっとずっと、理緒が好き。
今日はどんな風に理緒を、鳴かせようかな。
理緒の匂いは、中毒。
匂いも、声も。
ぬくもりも。
1度毒に犯された体はもう、後戻りなんてできなくて。
あとはただ、溺れていくしかないんだよ。
理緒に、酔った体はもう理緒なしじゃいられない。
理緒。
今宵も、君に酔うために、俺は君を鳴かせてあげる。
だからたくさん、いい声で鳴いてね。
ね。
僕のかわいい、お姫さま。
【完】