第1章 今宵、蜜に溺れてく
カタカタカタ、とパソコン画面の羅列した文字、数字。
それらを一瞬で頭の中で計算し、打ち込んでいく。
膨大な量の情報が今、匠の頭の中で数字へと変換され、文字へと置き換わり。
止まることなく動き続けるパソコンの画面。
匠は。
匠の頭脳は博士だったおばあさんのDNAを受け継ぎ、常に活性されている。
実に脳の70%以上が、常に活動しているんだ。
「終わったよ」
「相変わらずすげーな」
「んー、甘いの」
感心する先生には目もくれず、ヘロヘロになりながら匠はポスン、て。
わたしの肩へと頭を乗せた。
「理緒ちゃん、甘いのちょーだい。眠い」
「た、匠」
「は、や、く」
「〰️〰️っ」
常に常備してるチョコレートを、一欠片、口へと咥えて。
そのまま匠の口へと、口移しで食べさせる。
「もっとー、足りない」
「………っ」
先生の視線が、刺さる。
恥ずかしくて逃げ出したい、けど。
同じようにチョコレートを口に咥えて、匠の口へと運んだ。
「っ!!!」
口へと運んだ、瞬間。
ぐいって腕を引かれて甘いチョコレートの味が、口の中いっぱいに、広がる。
「んーっっ」
逃げようと腰を引くけど、後頭部へとまわりこんだ匠の腕がそれを邪魔する。
絡みとられて。
吸い上げられて。
息が、出来ない。
「盛んな、犬」
「………っわ!?」
「これでも飲んどけ、バカ犬が」
文字通り首根っこを掴まれて引き剥がされ、さらには髪の毛まで引かれ、強引に上向かされた匠の口の中に流し込まれるマグカップの中の液体。
だいじょぶかな、湯気出てるけど……。
「……っちぃ〰️〰️っっ、この、くそ教員っ」
案の定。
先生の腕を振り払った匠の目には、ありありと涙が。
「〰️〰️まじで、ふざけんなッッ!!」
「匠大丈夫?」
「甘いのっつったろ」
「いっぺん死んでこいよ、まじで」
バックに入っていたペットボトルを匠へと手渡せば。
ごくごく飲み干しながら。
匠が本気で毒づく。
「そこまで元気なら問題ねーな」
あっはっは、なんて豪快に笑いながら。
ヒラヒラと手を振る先生。
「〰️〰️っ、帰るよ、理緒!!」
「あ、ぅん」
「あ、約束、忘れんなよ御影」
「━━━っ」
今それ、言っちゃう?
匠の視線が痛い。