第2章 今宵、君に酔う
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トントン、て。
遠慮がちにノックされた音で、虚ろげだった目を開けた。
「匠、ぁの……起きてる?」
ああ。
雷。
そーいえばなってたっけ。
「起きてるよ」
返事をすれば。
遠慮がちにドアが開かれて。
困ったように理緒が顔を覗かせた。
「あ、の、……ね?」
瞬間。
窓の隙間からピカッと稲光が、見えて。
理緒が青ざめた。
数秒もせずに凄い音を立てて雷が、鳴り響いて。
あっとゆーまに理緒は俺のベッドの中だ。
「…………」
かわいいな。
ほんとに。
雷苦手なくせに、ずっと我慢してたんだ。
時計はすでに0時をまわってる。
そーいえばけっこう前から、なってたな。
「た、たくみぃ」
枕抱えて涙目、とか。
なにそれ、かわいすぎだよ理緒。
もうすぐ院生でしょ?
「もっと早く、来れば良かったのに」
「だ、だって匠今日、会社、呼ばれてたし、疲れてるかな、とか……」
「……」
「で、も結局来ちゃって……。やっぱり迷惑かけて、でもあの……」
話してる間にも外ではゴロゴロと、時々ものすごい音を響かせて鳴り響く。
「理緒」
「ぇ」
「怖くなくなるよーに、してあげよーか」
震える理緒の手を取り、そのまま自分のベッドへと、押し倒す。
「たく、み?」
「こんな時間に男の部屋来ちゃダメだよ、理緒」
「だ、……っ。ごめん、迷惑……」
「違うでしょ?理緒」
「……」
戸惑いの色に揺れる理緒の瞳。
きれいな、ブラウンの、瞳。
吸い込まれるように顔を寄せて。
優しく唇を奪った。
「なんにも考えられなくしてあげるから」
「ま……っ!!待って匠、わたしそんなつもりじゃ……っ」
「じゃぁどんなつもり?」
「そ、れ、は……」
「考えなかった?こんな時間にそんな格好で俺のとこ来て、いつもみたいにぐちゃぐちゃにされる、って、思わなかった?」
「ぐ、ぐちゃぐちゃ?」
あ、なんか違うこと考えてるな、これ。
ぐちゃぐちゃ、って。
一気に違う意味で青ざめた理緒に。
スプラッタは俺、あんまり興味ないんだけど。
とか、そんなことを考えながら口許を緩めた。
「………こーゆーこと」