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今宵、蜜に溺れてく

第2章 今宵、君に酔う


ねぇ理緒。
夜中に男、部屋になんていれちゃ駄目だよ。
弟なんかじゃないよ。
俺だって、男だよ。




「なんか久しぶりだよね、一緒に寝るの」
「昔は良く一緒に寝てたよね」
「匠はすっかりおっきくなっちゃって。なんだか狭く感じる」

むぅ、とか、かわいく膨れる理緒を前にして。
触れない、とか、無理。

「ならもっとこっちおいでよ、理緒ちゃん」
「ぇ、………っわ」
「ん?」
「な、何でもない……っ」

後ろから抱き締める形で、理緒を引き寄せる。
耳まで真っ赤にしちゃってかわいーな。
ねぇ理緒。
赤くなる、ってことはさ。
弟なんかじゃなくて、俺を男として意識してくれてるんだよね?

「理緒ちゃん、あったかい」
「ぇ、きゃ……っ、た、匠?」

布団の中、足を絡めれば。
堅く、硬直する理緒の柔らかい体。


「た、匠……何……っ」


目の前にある、理緒のうなじへと、キスをする。
右手は、理緒の胸へと、移動して。
軽く触れるだけで、理緒の体はおもしろいくらいに反応してくれる。


「寝ちゃった、の?」
「………」
「たく、み」


寝ちゃうわけ、ないじゃん。
わざとだよ、理緒。


「おやすみ、匠」


バカ。
鈍感。
寝惚けてたら、何されても許しちゃうの?
他の男にもこんなこと、されちゃうの?
寝たふりだって、男はいくらでもするんだよ。


「………」


いつの間にか聞こえてきた、理緒の安心しきった寝息。


男の前で、そんなに無防備で寝ないでよ。
安心、しないでよ。


「………理緒の、バカ」







だから。
だから。




高校の、卒業間近。





『なんのために今まで無害な弟、演じてきたと思ってる?』





動揺する理緒の唇を、強引に奪ったんだ。

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