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今宵、蜜に溺れてく

第2章 今宵、君に酔う


秋になって。
学園祭ムード一色になれば。
学内がそわそわそわそわと浮き足だつ。


「匠はきっと、いろんな女の子に告白されちゃうんだろうね」
「理緒ちゃんは、告白してくれないの?」
「え」
「だって、告白されても断っちゃったらその女の子可哀想だし、俺、なんて断ればいいのか良くわかんないもん」
「………そ、っか、うん、そーだよね。告白って勇気いるもんね」
「だからね、理緒ちゃんが出るってゆーなら俺も出る」
「それ、なんか関係あるの?」
「理緒ちゃんが出るなら、みんな理緒ちゃんに遠慮して何も言って来ないと思うんだー」
「え?」


御影グループの令嬢で、容姿はもちろん、頭も性格も良くて。
誰にでも優しい理緒。
みんなから一目置かれてる存在だって、気付いてないのはきっと本人くらい。

「それにさ?俺たちベストカップルに選ばれたらきっともう告白なんかされないし、俺も断る理由考えずに済むんだよ?」
「うーん……」
「俺、前さ、告白された時、あとになって匠くんていいの顔だけだねって言われたんだよ?けっこうあれ傷ついたなぁ、告白されてもまたおんなじこと言われたら俺、絶対立ち直れないと思うんだ」
「それは、酷いね」
「でしょ?だから、ねぇ理緒ちゃん。一緒出よーよ。恥ずかしいなら俺が理緒ちゃんに告白してもいいよ?ね?お願い理緒ちゃん」

「うーん………、わかった」

「ほんとに?」
「うん。匠がそんなに困ってるなんて思わなかったから。それで解決するなら、いいよ?」
「やったぁ、ありがとう」


ごめん、理緒。
全部嘘だよ。
理緒を出させるための。
だって、さ。
だって。
ベストカップルに選ばれたらね。



「それではベストカップルに選ばれた御影 理緒さん、篠宮 匠さん、熱いキス、しちゃって下さい」


「ええ!?嘘、聞いてないっ」
「理緒ちゃん、どーしよう」
「ええ、でもだって……っ」
「ごめん理緒ちゃん、目、閉じて?」
「だ、だって、匠」
「シラケちゃうよ?理緒ちゃん、早く」
「………」

目を閉じたのを確認してから、理緒を引き寄せて。
唇を重ねてから。
唇を割って舌を口内へと、侵入させた。

「!!」



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