第1章 今宵、蜜に溺れてく
「━━━━はぁ、さすがにもう、動けねー」
ゴロン、て。
わたしの隣へと寝転ぶと。
触れる匠の肌がしっとりと汗ばんでる。
「…………」
どーしよう。
帰らなきゃいけないのに。
自分の部屋に帰らないといけないのに。
動けない。
瞼さえも、重い。
「………大丈夫だよ理緒。もう眠って」
「ん、でも……」
話してる間にも。
瞼がくっつきそう。
駄目。
ちゃんと、帰らなきゃ。
「あとは俺がやるから。………おやすみ、理緒」
「………ん」
匠の掌が視界を奪うと。
すぐにでも吸い込まれそうだった意識の闇。
それは瞬間的に。
わたしの意識を奪っていったんだ。