第1章 今宵、蜜に溺れてく
「トロトロに溶けきった顔」
「ふ…、んぁ、ぁん」
輪郭をなぞるよう指先が頬へと触れて。
先ほどのキスで濡れた唇を、なぞっていく。
キスの間もずっと。
ゆっくりゆっくりと出し入れする腰の動きは続けられたままで。
すでに限界はすぐそこまで来てる。
「ごめん」
て。
額にキスをくれると。
匠は少しだけ体を起こして。
━━━━━━ぐちゅ
って。
思い切り強く、子宮目掛けてわたしを突き貫いた。
「━━━━ぁ、……んんん……っっ」
ガクン、で仰け反るわたしの腰を掴んで。
匠の腰の動きは早さを増していく。
脅迫じみた存在感を色濃く残しながら。
「ごめん理緒、一回射精(だ)す……っ」
「たく…、ん…っ!」
動きに余裕がなくなって。
わたしを気遣う優しい動きから、自分本位の、強く重い動きへと変わって。
手を伸ばしたわたしの掌を頬へと寄せながら。
匠の両手はわたしの頬へと、伸ばされた。
導かれるままに少しだけ反らされた顔と、喉元。
匠は獣のようにわたしの唇へと噛み付いた。
「━━━〰️〰️〰️ッッ」
なかで匠の存在を強く感じた、瞬間。
それは脈打つように一気に質量を増し、そして弾けた。
「………、っは、理緒、反則」
唇を離して、合わさる視線が艶を持つ。
額に光る汗が。
上下に動く肩が。
いつも余裕な匠から、余裕って言葉を根こそぎ剥がす。
こんな風に余裕なくして求められた事実に。
また、下半身がせつなく疼きだした。
「はーっ、はじめからとばしすぎた」
「た、匠……っ」
「ん」
「匠、も、気持ちいい……っ?」
「ぇ」
「気持ち、良かった……?」
同じくらい。
わたしに感じてくれてる?
溺れて、くれてる?
いつもいつも、わたしだけが匠を求めてる気がして。
匠はいつも、余裕だから。
さっきみたいに余裕ないの、はじめてみたから。
だから。
「理緒」
「………」
「気持ちよくないわけ、ないじゃん」
「ぇ」
「理緒に触れたらいつだって余裕なくして抱きたくなっちゃうし。気持ちくて気持ちくて、結局理緒に負担ばっかかけちゃってるってのに」
「で、でもいつも匠、余裕たっぷり……」
「そう、見せてるんだよ」