第1章 今宵、蜜に溺れてく
「━━━━━━っ!!」
ズン、て。
一気に感じた思い衝撃と、ものすごい圧迫感。
その脅迫じみた存在感は、わたしから声すらも、奪っていく。
「………気持ちいい、理緒」
「ん…っ、ぁ、っぁん、ぁああ……っっ!?」
頭上で捕まっていた両手は、いつのまにか匠の両手に掌を絡めるように押し付けられていて。
ぎゅう、って握られた掌がすごく熱い。
ほどよく掛けられた匠の体重が、重さが。
気持ちいい場所を、刺激する。
「……かわいい、理緒」
反らされた喉、顎。
じゃれつくように唇が、舌が、這う。
「……っは、ぁ…っ」
ガクガクと震える。
匠がなかを、奥を突く度に震えが止まらない。
「さすがに吸い付きすごいね。たくさん理緒をいじめたかいがあったな」
くすり、と笑みをこぼして。
余裕そうに上から見下ろす匠。
だけど。
額から、汗が伝う。
瞳が、獣みたいにわたしを射抜く。
燃えるみたいに、密着した体が熱い。
全身で、わたしを求めてる。
「匠、好き」
少しだけ首へと力を入れて。
顔を起こす。
そのまま匠の唇へと、自分のそれを押し付けた。
驚いたように動きを一瞬だけ止めて。
力の抜けた匠の唇を割り、舌を絡める。
匠がいつもしてくれるように、優しく、丁寧に舌を吸って、擦り合わせて。
絡める。
「━━━━━っ」
瞬間。
縫い止められていた手首の圧迫がなくなって。
代わりに。
匠の右手が額を押し付けるように頭を押さえる。
噛みつくみたいに。
さらに深く匠の舌が入ってきて。
苦しいくらいに、荒く、乱暴に。
だけど優しく、丁寧に。
匠の唇がわたしを喰らい尽くす。
「━━━━は…っ、ぁ、あ」
ようやく唇が離された頃。
口の中で飲みきれなかったどちらのものかわからない唾液が、端から溢れ出た。
それを舌で舐めとって、また、唇が軽く触れた。
ちゅ、って、上唇と下唇を啄んだ、後。
ようやく匠の視線が、降ってきた。