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今宵、蜜に溺れてく

第1章 今宵、蜜に溺れてく


「え」

「いつだって余裕なんか、あるわけねーじゃん」




まっすぐな瞳が、揺れる。
熱をはらんで、艶を持って。
わたしを欲しがる、野獣の目みたいに……。


「………理緒、ぁの…」

わたしを見下ろす匠の瞳が、不安気に、揺れる。


「うん」


ぎゅ、て。
匠の首へと両手をまわした。


「いいよ?」
「…………っ」



好き。
大好き。
いつだって、今この瞬間だって。
好きが溢れて止まらないの。
言葉でなんて言えないくらい。
どう伝えれば伝わるのかわからないくらい。
好きで好きで仕方ない。
だから。
言葉なんかなくていいから。
抱き締めて。
抱き合って。
境界線なんて溶けてなくなるくらい。
ずっとずっと一緒に溶けちゃえばいい。



「………匠、好き」
「〰️〰️〰️っ、だから…っ」

「大好き」


「〰️〰️ああもうっ」



だって足りない。
わたしも、匠が欲しい。
匠に負けないくらい、匠が欲しいんだよ。





ふーっ、て。
息を吐き出して。
顔を上げた匠は、いつもの余裕たっぷりの、匠。
さっきまでの余裕ない表情はいつのまにか成りを潜めて。
だけど獣みたいにわたしを欲しがる、険しい瞳はそのままに。
匠の視線が、わたしを射抜く。



「…………っ」
「理緒が煽ったんだから、責任、とれよな」
「せ、きにん?」
「俺が満足するまで、抱いていんだよね?」
「………え」
「いっとくけど、いつもみたいに手加減なしで甘やかすからね?」

て、手加減!?
いつもみたいに?
あれ、で。
手加減、なの?

「………」


少しだけ感じた不安は、もちろん匠の目にも、うつりこんだ、わけで。

「覚悟、して?」

「………っ」



わざとらしく匠は、きれいなブラウンの瞳をゆっくりと、妖艶に、細めた。
唇から覗かせた、真っ赤な舌まで見せつけて。


「………ぜ、善処、します」


「じゃぁとりあえず……」
「━━━っ、きゃぁっ!?」


「ここ、もっと解そうか」





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