第1章 今宵、蜜に溺れてく
「━━━ひぁっッ!?」
直視出来なくて視線を反らした僅か1秒程度。
その間に匠は抜け目なく次の行動を起こしていて。
「………ん、ぁ…っ」
服の上から唇で、胸を愛撫していたんだ。
口に含んで転がして。
吸い付いて。
時々噛み付いて。
「……濡れて透けてきてる。エロい、理緒」
「………っ」
服の、上からのせいか。
匠の舌が動く度に濡れた服が時間差で胸を掠めて。
なんかすごく……っ
「ねぇ、聞こえる?この音。まだ触ってないのに。理緒のエッチ」
「や……っ!?」
胸にわざと吐息がかかるように囁いて、右手は秘部へと、伸ばされた。
そのままくちゅくちゅ、って、わざとらしく蜜を絡めて指先を鳴らす。
「高校生ん時は、セックスの意味すらわかってなかった理緒がこんなにエロくなるなんてね」
くす、って笑みをひとつ。
「━━━ひ、っぁあん……っ」
視線はそのまま、わたしへと向けたまま。
指先がなかへと、沈んだ。
「あ……っつ、理緒のなか」
「やぁ、指…っ、深……っ」
「うん、この辺?」
子宮の手前、お腹の方を引っ掻くように押されれば。
ビクン、って、大袈裟にしなる体。
「理緒、ここ弱いね。そんな気持ちいい?」
「いきなりそれ、やぁ……っ、おかしくなるも…」
「ねぇ、知ってる?今日3回目だよ?するの」
「…………」
「理緒の体、もうトロットロ。俺が欲しいってきゅうきゅう指咥えこんで離さないの」
「……は、ん、っぁあ…っ、匠指、やだぁ……!!」
指先の動きが激しすぎて。
匠の言葉が耳まで届かない。
「やだやだ、ほんとそれだめ匠…っ、指やめ…、手、離して」
両手押さえつけられてるせいで。
快感の発散場所がない。
いつも握りしめてるシーツには手が届かないし、近くに握りしめるものもない。
どこに力入れていいのかわかんなくて。
身を捩っても匠が解放してくれるわけなんて、なくて。
じわりじわりと、わたしを追い詰めていく。