第1章 今宵、蜜に溺れてく
言われて、みれば。
確かにさっきまで着てた服は脱がされて、代わりにわたしの体には、Tシャツが、着せられてる。
━━━━待って、Tシャツ?
誰の?
いや、匠の以外にないんだけど。
「もういい?」
「━━━━よくないっ」
「なに、さっきから」
「だって……、だって………っ」
いろんな羞恥心が頭ぐるぐるまわって。
瞼が、熱くなる。
洗った、って。
洗ったって。
それ、裸見られたし!!
しかもわたしさっき……っ
「お願い匠、歯磨き……っ、したぃ……」
わたしさっき、盛大に、吐いた、ばっかで。
絶対キスなんか、出来ないよ……っ。
「なんだそんなこと?」
「そんな……っ、ことって!!」
重大事項だよ、最優先事項!!
「どんな理緒でも俺は構わないし」
「かまう!!わたしはかまうの……っ」
近付いてくる匠を、顔を反らして拒否れば。
「………理緒」
ため息とともに低い声が降ってきた。
「〰️〰️〰️」
「俺を拒否るの?」
「………」
反らしていた顔を、正面へと、向けて。
「キスは、やだ……っ」
唇を噛んで、懇願する。
「…………わかったよ」
ため息とともに。
両手首にかけられていた体重が軽くなって。
わたしの上から匠が、いなくなった。
「匠………っ」
体を起こして匠を視線で追うと。
マグカップ片手に匠は戻ってきて。
そのままわたしの隣へと、腰掛けた。
「コーヒー」
「ぇ」
「これならキスしていい?」
「コーヒー……?」
「味濃いから、理緒も気にならないでしょ」
「…………ぅ、ん」
マグカップを匠の掌から受け取ろうと、するけど。
「ぇ」
そのままマグカップの中のコーヒーは、匠の口の中へと運ばれる。
「また!意地悪して……」
「ん」
マグカップを追って視線を上げれば。
不意打ちに匠の唇が、わたしのそれに触れて。
唇を割って入ってきた匠の口から、甘いコーヒーが、流し込まれた。
「━━━━……んんっ!?」
そのまま勢いのままにベッドへと押し倒されて。
先ほどの、組み敷かれた体勢へと、相成る。