第1章 今宵、蜜に溺れてく
額と、匠の額がくっついて。
余裕のない匠の顔が、瞳にうつる。
そのまま唇が、重なって。
深く舌を絡めながら。
匠の脈打つその塊が、わたしのなかで解放される瞬間を感じた。
「最近さぁ、エロくない?理緒」
「な、な、何……っ」
「エロいよ、うん」
「〰️〰️〰️っ」
2回、言った。
今なんで2回言った?
途中の駅で降りちゃったから。
そのまま帰りはバスにて帰宅。
隣の席に座りながら。
匠は楽しそうにクスクスと笑ってる。
「た、匠が……っ、あんなこと、するから……っ」
「あんなことって?」
わざとらしくニヤつきながら。
匠の掌はまた太腿を、触っていく。
「た、匠……っ」
「なんてね、さすがに公衆の面前じゃしないよ」
「〰️〰️っ」
よく言う……っ
「ん?」
「だってさっき、電車で……っ」
「ああ、あれ。誰にも見えてないもん」
「え?」
「なんのためにあんな密着したと思ってんの。理緒のあんな姿、誰にも見せるか、って」
「━━━━っっ」
「………っぃ、て。何、理緒痛いって」
「知らないっっ」
グーで匠の肩や腕をなぐれば。
わざとらしく痛がったふりなんかする。
骨折してても平気だった人が、このくらいで痛がるわけないじゃない。
「理緒ー」
「?」
「行ってもいいよ、親睦会」
「ぇ」
「俺も行くけど」
「え!」
「………何その顔。俺行ったらなんかまずいの?」
「ぃ、いやぁ……」
「じゃ決まりね。予約は俺がやるから」
「………」
『それみたことか』
なんて、先生の視線がたぶん痛そうだ………。