The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
大人しく頷くと二人とグリムにホッとした顔をされて、そんなに私の方向音痴は深刻なのだろうか。
「オレ様、オマエを案内するの面倒だから気をつけた方がいいんだゾ」
「うん。そうする……」
庭園内をエースとデュースの案内の元歩いていくと誰かの声が聞こえて来る。
「この声は……」
「お、あそこに誰かいる」
グリムの指差す方向には忙しなくスマホとマジカルペンを持って何やら作業している人がいる。エースたちと同じ腕章をつけた制服を着ているから寮生か。
「急げ急げ!早く薔薇を塗らなくちゃ!」
「薔薇を……?」
何処かで見た光景が現実でも繰り広げられている。
マジカルペンを振ると真っ白な薔薇が赤く染まっていく。芝生にペンキも置かれてはいるけど、使わないようだ。
あの時はペンキを使っていたのに。
ん?あの時?一体いつのことだ?
疑問符が頭に浮かんでいると私たちに気づいてのか作業を止めてこちらを見た。
「ん?君たち、何か用?」
「それ、何やってんの?」
「あぁこれ?見ての通り薔薇を赤く塗ってるだけ」
「薔薇を塗る?なんでそんなことを!?」
薔薇を塗るって本当にハートの女王に出てくる話と同じだ。ってことはエースのタルトの盗み食いもパーティー用だった可能性も高い。
「薔薇は白いままでも綺麗だし、そもそもそんなことしたら薔薇が萎んだりしないんですか?」
「ペンキは薔薇を塗る専用のペンキがあるんだ!それにオレが使っている魔法は色変え魔法だからすぐに色を落とせるんだよ!
みんな、反応がフレッシュでかわいー!」
色変え魔法、薔薇を塗る以外にも服の染色にも使えそうだから結構便利な魔法なんだろうな。こういうの聞くと魔法を使えるのが羨ましいな。
「って、君らもしかして昨日10億マドルのシャンデリア壊して退学騒ぎになった新入生たちじゃん!」
「その話、目撃者も割といたから結構広まっちゃってるね…」
「オレたち卒業までそれ言われるかもな…」
「どんまい…それを糧に後輩たちにそんな事件を起こさないように伝えればいいんじゃない?」
私なりに慰めたつもりなんだけど、どんな慰め方だよ!と文句を言われた。
えー、確かにそんな問題児なんて中々いないけど教訓として語ればいいんじゃない?それにこういうのは時間が経ってから思い出すとそれもいい思い出って思えるわけだし。