The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
「とにかく魔法封じられたままでは授業もまともに受けられない。早くローズハート寮長に謝りに行ってそれを外して貰った方がいいんじゃないか?」
「く、納得いかねー!」
「そういえばハーツラビュル寮ってどんな寮なの?私、あんまり他の寮について知らないけど」
「ん?うちの寮か?僕も入ったばかりだからよく知らないが、出身国の薔薇の王国と同じで薔薇が多い寮だな。それに変な規則が沢山ある」
「へぇー…薔薇の王国って名前を聞くだけでも綺麗な国なんだろうなぁ」
いつか元の世界に帰る前にみんなの故郷に行ってみたいなぁ。きっとどの国も素敵な国なんだろう。
ジャミル先輩の寮も異国のアラビアンな雰囲気が素敵な寮だったからハーツラビュル寮に行くの楽しみだ。
もはやエースとグリムのことは無視してデュースと世間話をしながら話し込んでいると完全に他人事の私たちにエースが無視するなと割り込んでくるまであと数秒。
暖かい秋晴れのような陽気に包まれる中、グリムのエースを揶揄う声が楽しそうに響いた。
***
七つの鏡の中、トランプがデザインの鏡を通るとそこはもう別の場所に。
昨日お邪魔させて貰った寮とはまた違った雰囲気。
デュースの言っていた通り、薔薇の赤がとても綺麗に映える寮だ。ジャミル先輩の寮のように金ピカでザお城って感じはないけど、それでもデカイのは変わらない。
何処からか薔薇のいい香りと紅茶の香りが漂ってくる。赤と白と黒の色彩が素敵だな。
「…ジャミル先輩の寮もそうだけど、どこの寮も学生寮とは思えない大きさなんだよな。一体どれだけお金かけてるんだ……?」
「オレたちの寮とは全然違うんだゾ!」
「仕方ないよ、私はそういう専門的なことはからっきしだし。修理しようにも手作業なんだから」
溜息混じりにうちの寮の状態を思い出した。比較すると悲しくなるくらいボロボロだからなぁ。
中は綺麗にできても外観までは手が回らない。
「そうだ、今日はオレたちがいるからいいけど。お前は一人でうちの寮来るなよ?
来るとしてもグリムを連れて行け」
「え?」
「ここ、ハートの女王の庭園を真似して迷路みたいになってるからユウは絶対に迷子になる」
マジトーンで言われた……。このくらい大丈夫だと言いたいけど、実際どれだけ短距離でも迷っていたからこの庭園で一人で迷ったら一生帰れる気がしない。