The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
「ここは寮のキッチン……?凄い広い……」
「宴の食事づくりはここでやっているんだ。これくらい広くないと寮生たちが立ち回れない」
キョロキョロと見回してキッチンを眺める。香辛料の香りが漂って来てここではスパイスを使った料理をよく出すのか。それくらいこの独特な匂いが染み付いている。
「凄くスパイシーな香りですね。カレーとかスパイスから作ってそう……」
「作っているぞ?俺はカレー好きなんだが、カリムが苦手で中々作れないが。君の国でもカレーを食べるのか?」
「はい。とは言っても先輩みたいにスパイスから調合してなんてできないので市販の固形のルゥを使ったカレーですが……」
何やら手元を動かしているが、私の話を興味深いようで器用に同時にこなしている。うわぁ、この人きっと頭がよくて要領もいいんだろう。
「へぇ。それは興味があるな、今度聞かせてくれ……と。できた」
「これは……?」
「安眠効果のあるお茶。眠れないんだろ?俺も眠りは浅いほうだから時々飲んでる。毒味が必要なら飲むが?」
差し出されたお茶を前に当然のように物騒な言葉が出て来るのでぎょっと顔を見るが、当然と言いたげな顔なのでなんとも言えなくなる。
ぶんぶんとクビを振って毒味は流石に拒否する。
「ど、毒味?!いりません!その……私、ここまでされてもお金持ってないので何も返せません」
「別にお金は十分稼いでるからいらない。これはただの先輩の親切心だ。疑うのか?」
「い、いただきます」
お茶を受け取るとすっと鼻を抜ける爽やかな香り。なんだろう、ハーブティーかな。嗅いだことのある匂い。
「この匂い……」
「ん、無理だったか?ハーブティーは美味しいが、独特な香りがするからな。無理そうなら飲まなくていい」
「いえ、この匂いカモミールですか?」
「そうだ。薔薇の王国から仕入れたんだが、香りが気に入っていてな」
こくりと飲むと温かさが全身に回ってポカポカしてくる。あんなに寒さで震えてたのに嘘みたいだ。
ふとキッチンを見るとお弁当の箱が置かれている。この学園食堂あるけど、使ってない人もやっぱりいるんだなぁ。
「そういえばバイパー先輩はどうして外にいたんですか?この時間ならみんな寝てる時間だと思っていました」
寮内は夜中とは思えないくらい眩しいけれど、ここにくるまでに寮生には会わなかった。みんな眠っているのだろう。