The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
「許可の問題なら俺は副寮長だ。俺の権限で入れてやる」
「でも、こんな夜中に行くのはちょっと……」
もし行くならちゃんと手土産持ってから行きたい。
流石に手ぶらで訪ねるのは……。
「大丈夫だ。カリムもこれくらいは許す。それにお前がもし刺客でもすぐに倒せそうだ」
「ん?刺客……」
「こっちの話だ。とにかく来るか?」
なんか物騒な話が聞こえた様な気がしたけど、気のせいだよね。刺客ってお伽話じゃないんだし。
いや、この世界ってお伽話をモチーフにしてるんだっけ?
「…………じゃあ、お邪魔させてもらいます」
「あぁ。大したもてなしはできないがな」
案内された鏡舎の鏡を通ると別世界が広がっていた。広大な砂漠にインドにある様な大きなお城。
これ、本当に寮なのか?城じゃないの?
外装に使われているのは金だろうか。きっと昼間に見たら眩しく感じること、間違いなしだ。
「ほらこっちだ。呆けてないでこい」
「す、すみません。驚いてしまって……」
「この寮はカリム……寮長の親が改装させたから驚くのも無理はないな。つい最近仲間になった寮生もとても驚いていたよ」
「お金持ちな寮長さんなんですね。……自分の家は貧乏とまで言わないけど沢山お金がある方ではなかったので少し羨ましいです」
自分の家を思い出して言うとそうか?と彼は首を傾げた。
「お金があってもいいことばかりではないが」
「そうなんですか?でも、お金があれば外国に旅行にだって行けるし、ご飯もお腹いっぱい食べられる。それに……もし病気になってもちゃんとお金を払えるじゃないですか」
少し寂しそうに微笑む目の前の人物にジャミルは息を呑んだ。その目は少しだけ大嫌いなやつに似ていて、自由を渇望する自分とも似ている。
そんな風に思ってしまったのが不思議だった。
似ても似つかないはずなのに。
そもそも会ったのはこれが初めてなのにそんな印象を持つとは思わなかった。
あの学園長が面倒見てるというから泣いてる姿を見て恩を売っておこうと思っただけなんだが。
妙にペースを乱される。純粋で素直かと思えば大人みたいな冷静な目をする時がある。
不思議なやつだ。
「………そうか。ん、ここだ。今の時間なら誰もいない、ひとまずそこに椅子があるから座って待ってろ」
先輩の指差す椅子に座るとキョロキョロとオンボロ寮と全然違うキッチンを見回す。