The end of the story 【ツイステ】
第3章 penaltyコンビ
「撮影者が被写体と親しくなることにより、写真が動画のように動いたり、実体を伴って抜け出したりするようになるんです。面白いでしょう?」
「実体を伴って抜け出す!?写真から!?」
思ったより魔法的な感じだった。目の錯覚関係ないのか。こういうところ、この世界は異世界なんだなって実感させられる。
「まるで心霊写真じゃないですか!!」
「ええ。だから『ゴーストカメラ』と呼ばれたそうです」
「まだ動画のない時代、より鮮明に思い出を残すために開発されたものらしいんですが……スペードくんの言う通り、昔の人は飛び出したメモリーを見て『ゴーストだ!』と驚き、このカメラで写真を撮られることを非常に恐れたんだとか」
「まるで昔の日本のようだなぁ」
確か昔カメラが日本にやってきた頃に写真を撮られると魂が抜かれるんじゃないかって怖がられていたんだよね。このカメラもそんな感じだったのかな?
「貴方は、このカメラでグリムくんや他の生徒達を撮影し、学園生活の記録を残してください」
「記録を?まるで卒業アルバムの作成みたいな仕事ですね」
「卒業アルバムですか、それとは違いますが………グリムくんがあの様子でしょう?」
るんるんと飛び跳ねて写真を撮るのを楽しんでいるグリムを見ながら学園長はため息をつく。
へぇ……卒業アルバムのような概念はあるにはあるのね。
「ああいうお調子者が悪さをした時には、必ず『メモリー』を残しておくこと。私への報告書代わりにうってつけでしょう?監督生として、しっかり周囲に目を光らせ記録をとるように」
「それが学園長のいう頼みたい仕事ですか?それくらいならわかりました。グリムがやらかしたら報告はちゃんと行こうと思っていましたから」
でもメタいこと言うと物語の主軸ともいえるグリムがなにも起こさないはずがないんだよね。
これから大変なことになるのを予感はしていたからそのくらいの仕事は問題ない。流石にこれ以上退学騒ぎになるようなものはやらかさないだろうと信じたいけど。
「魔法士でなくても使える稀少な魔法道具を気前よく渡すなんて……私の優しさ、天井知らずじゃありません?」
「………」
学園長、そういうのってやっぱり自分から言うとありがたみ失せるのでやめた方がいいと思いますよ。
でも、居場所をくださっている分働かないといけないのは分かっているから特に文句はないですが。